茶道男子ブログ

Since 2010.5.15 茶道サークルです。

2013年 10月 5日のお稽古の記録

『ワビ・サビ』は、お茶(数寄の道)を語る場合に、欠かすことの出来ないキーワードですよね。
日本人なら、肌感覚として感じられる概念でもありますよね。
しかし、この『ワビ・サビ』を明瞭に説明してくれと頼まれると、
誰もが困惑してしまう概念でもありますよね。

困惑する理由は、『ワビ・サビ』の実像を曖昧にしているイデオロギーのせいだと、
管理人は勝手に思い込んでいます。
そのイデオロギーとは、安っぽいヒューマニズムや平等主義です。

お茶(数寄の道)は、
権力者やお金持ちが、様々なものに飽き飽きした挙句、
「貧乏人の真似事をして風流を味わおうやないか、オモロイかもしれへんでぇ」と始めたものです。

『ワビ茶』の創始者村田珠光はお茶(数寄の道)のイメージについて、
次のような言葉を残しています。
「藁屋に名馬つなぎたるが良し。」
ボロ屋に駄馬ではダメなのです。
ボロ屋に高価な名馬をつなぐとイイ感じだ、
とそう珠光は言い切ったのです。

つまり『ワビ茶』とは、潤沢にお金をかけて「貧乏人の真似事」を楽しむ、酔狂な遊びだったのです。
多分、マリーアントワネットが、プチ・トリアノンで田舎遊びをした感性に近いものです。

これが、『ワビ・サビ』の本質です。
つまり、『ワビ・サビ』というあの雰囲気は、富裕に裏打ちされたウイットやセンスのことです。

しかし、『ワビ・サビ』のこの本質を、白日の下に、露々歴々と曝した場合、
茶道にあるかもしれないと思わせている、(博愛主義的な?)精神性が、根底から揺らぐ訳です。
ですから、『ワビ・サビ』は靄に隠されて、説明しにくくなっているのです。

権力者やお金持ちが、お根性として貧乏っぽくするのは、『おケチ』と呼びます。
『おケチ』と『ワビ・サビ』は、別物です。
もう一つ、管理人のように貧乏人が、貧乏っぽくするのは、『実生活』です。
『実生活』と『ワビ・サビ』も、当然、別物です。
これは、ハッキリ区別する必要がありますよね。

『ワビ・サビ』と言う言葉そのものに限定すれば、
ディレッタントで高踏的な、差別用語の一種のように、管理人には思えてなりません。
ですから、ゆめゆめ、安易に使ってはいけない言葉です、『ワビ・サビ』は。

ところで先日、テレビで、数寄の道(お茶)では非常に高名な方が、
『世界平和』と『人類愛』を茶道こじつけた発言をしていらっしゃいました。

思いつかれたのでしょうねぇ。
聞こえは耳に心地よく、立派なこじつけなのですが、どう考えても無理があります。
解釈の仕方は個々人の自由ですが、流石にねぇ・・・・・・、と思います。

こう言う種類の安易な発言が、
ますます『ワビ・サビ』の本質を濁らしている、
と思うこの管理人は、相当なヒネクレ者なのでしょうか?


新暦の10月を茶道では『名残の月』と言います。
11月からは炉になります。
つまり10月は、風炉の最後の月なので、
風炉の風情もいよいよ最後だ、
名残惜しいと、
楽しむ月なのです。



花:竜胆・紫苑・せいたか泡立ち草・ホトトギス紫式部・水引・芒。
このように、籠に多くの種類の草花を盛るのは、『名残の月』の入れ方です。
虫食いや枯れた葉っぱを入れてもよいとされます。
場合によれば、30種類ぐらいの草花を入れてもいいそうです。
k1さんに、入れて頂きました。



そして『名残の月』では、『中置 ナカオキ』と言うやり方で、
お点前が進みます。
『中置』は、風炉の位置がお客様に近づきます。
つまり畳の中央に、風炉が置かれます。
肌寒くなる時期なので、火の気をお客様に近づけると言った配慮からの配置です。


通常は、このように水指は据えられます。




これが、『中置』の置き水指の配置です。
水指は、場所が少なくなるので長細い『細水指』が使われます。


薄茶(中置)k1  k2 y3  n1
濃茶 y2 正客 h1 詰 k1


先生がお持ちになった蓋置です。


三日月の形です。




また『名残の月』には、直し物の茶碗なども使われます。
京都『和楽』の楽茶碗です。





薄器は、『唐戸面虫篭蒔絵』です。
輪島の大多尾重則作です。




薄茶の菓子は、京都亀屋『焼きあづき』長野利久堂『あんず姫』。
菓子器は、正客前の、畳の縁の2つ目に出します。

この薄茶の菓子を食べる場合、
正客は次客に器を少し寄せ、「お先に」と挨拶をして、
器を再び自分の前に持ってきて、亭主に、
「お菓子を頂戴します」と言ってから、ワを手前に折り上げたした懐紙に取ります。



『中置』の濃茶の、茶入の置き場所は、畳の1/4です。



濃茶の菓子は、板橋かぎや『スイートポテト』。
器の選択ミス、菓子の配置ミスで、たこ焼きのようになりました。
すみません。