茶道男子ブログ

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2013年 11月 2日のお稽古の記録

『ワビ・サビ』とほぼ同時期に完成された概念に、『幽玄』があります。

『ワビ・サビ』には、どことなく緩んだ感覚が漂い、絵画的でアポロ的な明晰さがあります。
が、『幽玄』は、沈鬱で隙間のない尖った感覚が漂い、瞑想的(音楽的)でディオニッソス的で曖昧です。
茶より酒のイメージでしょうか?

ところで今回は、利休と秀吉のコラボによる『黄金の茶室』について、個人的な感慨を述べたいと思います。
『黄金の茶室』は、成金趣味・悪趣味の代名詞のように語られていますよね。

桃山文化は、秀吉の好みの文化です。
秀吉は、自出のコンプレックスや、上昇志向・自己顕示欲から、過剰な演出を繰り返した人物のように語られていますが、それは穿った見方です。
秀吉は、緩急のある色彩を甘い曲線で縁取った、あの桃山の美を作り上げた人です。
秀吉は、類まれな美のディレクターでした。
若いときから様々な美しいモノゴトを、好奇の眼で見、それらをクッキリ頭の中に焼き付け、天下人になってからは、その感動して来たモノゴトを昇華させ、具体化させた人物です。

下の有名過ぎるほど有名な、秀吉の辞世の句を詠むと、秀吉と言う人が見えてくるはずです。
『露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢』
この、歌としての音、響き。『露』と『夢』の対比。『落ち』と『消え』の動き。『我が身』と『浪速』の立体・空間比較。劇的な五・七・五・七・七のストーリー展開と捻り。瀟洒諧謔と、不気味なユーモアー。このセンス。
秀吉、凄いです!憎たらしいほど、頭、良過ぎです!

復元『黄金の茶室』を、熱海のMOA美術館で見たことがあります。
ハロゲンライトの照明に映えて、金と緋と紺の茶室は、燦然と輝いていました。
しかし、それは桃山建築の中にあった時の輝きではありません。

庇が深く、昼なお暗い桃山建築(例えば二条城のような感じ)の中に、組み立てられた『黄金の茶室』を想像してみてください。
室内にやっと届いた陽光を捕らえて、沈んだような鈍い黄金色に輝くその茶室を。
夜は夜で、ゆらゆら揺れる蝋燭の灯りを、互いの壁の反射させているその空間を。
これこそ、『幽玄』です。


さて、今回は、『炉開き ロビラキ』でした。
『炉開き』については、『昨年の11月のお稽古の記録』を読んでください。
なお、追記すると、亥の月 亥の日 亥の刻に、炉に火を入れるのだそうです。

薄茶 y1 k1  k2 y3  n1
濃茶 y2 正客  詰


花:菊と照り葉。管理人が入れました。
枝物のテッペンが、花入の中心と一直線でなければ、バランスが悪くなります。
ですから、この花、気に入っていません。



ちなみに、これが今年の全国大会の花です。
これも、枝の処理が、、、、なんて偉そうに、すみません。








濃茶の茶碗は、志野です。
竹里庵加藤春二の作です。


見込みです。


高台です。




『炉開き』でしたので、善哉を出しました。
善哉は、黒文字一本では食べられないので、杉の箸が添えられます。
手前に、黒文字を置きます。