茶道男子ブログ

Since 2010.5.15 茶道サークルです。

2014年 3月 8日のお稽古の記録

お茶を舞台にした名作小説は、何と言っても、川端康成の『千羽鶴』です。
円覚寺の仏日庵(北条時宗の庵室跡)の隣の茶室烟足軒(エンソクケン)の場面から、小説は始まります。
ただ、お茶を齧った人間には、この小説は違和感を抱かせます。
やはり、お茶に小指でも触れた人間でなければ、折檻されるがごとくの約束事で縛られているお茶の世界を描くことは、難しいのでしょうかねぇ。
千羽鶴』は、母娘で、一人の青年を争う、愛欲と嫉妬に塗れた不謹慎な小説です。
母親の方は、その青年の父親の、素人ながら愛人であった、と言うこみいった仕掛けもしてあり、否が応でも川端世界が盛り上がります。

小説は、拭っても落ちない、死んだ母親の口紅(らしきもの)がついた志野茶碗を、娘が打ち割るところで終わります。
口紅がついた茶碗!
これが、茶道を齧った人間には、どれだけ違和感ある代物であるか!
違和感!
違和感ついでに言えば、こんなことも。
お茶の道具は、お茶を知った人間でなければ作ることは出来ないのです。
それは、微妙な、指・掌・唇の感触が、普通の道具とは違うからです。

取りようによったら、エロチックです。
お茶の時間は、官能小説を読むひと時のようにも感じます。

これから紹介するのは、川端康成の『雪国』のワンシーンです。
場所は、雪国のとある温泉町の、旅館の、階段の下。

『雪国』の主人公である作家島村は、久しぶりに再開した芸者の駒子に、
自分の人差し指をつきつけて、こう言います。
「こいつが一番よく、君を覚えていたよ」
それを聞いて駒子は、島村の指を握って、彼を二階へと誘います。

閑話休題、今回のお稽古の記録です。



花:太郎冠者椿 青文字。
k5さんが、入れてくれました。



薄茶 k1 k4 k5 h1
濃茶(台調べ)s1 正客k4 詰 k1


桜の絵が施されている茶杓です。





棚は、蛤棚。
この時期の、棚だそうです。




有隣斎の、自筆の桜花茶碗。






替の、赤楽。佐々木松楽作。





お薄の菓子。






主菓子、いずみや『流れ水』。