茶道男子ブログ

Since 2010.5.15 茶道サークルです。

2013年 3月 30日のお稽古記録

掛軸は和歌です。
「見渡せば 柳さくらをこき混ぜて 都ぞ春の にしきなりける」
素性ソセイ法師 『古今和歌集

桜を詠んだものなら、次の芭蕉の俳句が好きです。
〜さまざまの 事思い出す 桜かな〜

今年の桜は、いつの間にか咲き、あっと言う間にピークを過ぎてしまいました。
桜にちなんだ飾りは、桜が咲くの前に並べるからこそ、味わいがあるのです。
しかし、今年はこんな咲き加減だったので、「間抜け」承知で、桜に因んだ軸を掛けました。

「柳さくら(羅)」って、読むのが大変だと思いませんか?
「羅」が仮名になった「ラ」を「ら(良が仮名になったもの)」と読むのですよ。

「香合」「蓋置」も桜にちなんだ「道具」です。

夜桜の雪洞の形の「蓋置」。13代 紀太理平。


隅田川香合」





花は「椿」と「山吹(道灌)」。




閑話休題
お茶では「お香がよく匂いますねぇ〜」とは言いません。「クンクン」とお香の匂いを嗅いでいるようだからです。
では何と言うのかといいますと、「お香がよく聞こえますねぇ〜」と言います。
いやはや「緑なす黒髪」と言う表現をした日本人は、奥深い表現が大好です。

「山吹」「紅葉」。
この2つの植物は奥深い雅名を持っており、お茶の世界では独特の呼び方をしています。

ところで、「紅葉 もみじ」は、ある特定の植物の名前ではないようです。
紅くなった葉っぱを「紅葉こうよう」といい、黄色く色づいた葉っぱを「黄葉おうようorこうよう」と呼びます。
このように、揉みだしたような色つきの葉っぱ(「揉みいづる」が「もみじ」の語源です)はすべて、「もみじ」と言います。だから(もみじ饅頭でお馴染みの)楓だけが、「もみじ」ではありません。

話を元に戻します。
「山吹」「紅葉」の独特な呼び方ですが、
「山吹」は「道灌(どうかん)」、
「紅葉」は「竜田(たつた)」、
となります。

日常生活で、「山吹」を前にして「もう、道灌の時期ですかぁ〜」なんて言ったら「何トンチンカンな事を言っているんだ!」とお腹の中で思われるか、「この知ったかぶりのバカ」と軽蔑される、あるいは「この人、凄い!」と警戒されるか、そのいずれかです。

しかしお茶の世界では、「鮮やかな色目の道灌ですねぇ」と、「山吹」を誉めます。
でも、難しいわけではないのです。
この2つの植物だけですから。
覚えたら使えますよ。
そして、どうしてそのような別名があるのかは、長くなるので、今度の「婦人会」で!

※人によれば、「桜」を「佐保(さほ)」と言ったり、「山吹」を「井出(いで)」「井出の里」とか言います。
昔は、「桜」と言えば奈良の「佐保川」、「山吹」と言えば奈良の「井出の里」が第一の名所だったそうです。
また、「桜」と「佐保」、「山吹」と「井出」は和歌にもセットで使われています。
それで「通ぶって」そう呼ぶ人がいるらしいのです。

更に余談ですが、春を呼ぶ女神が佐保姫、秋を呼ぶ女神が竜田姫です。



薄茶 s1 k1 y3 y2
濃茶 h1 正客k1 詰y2

蛤棚(はまぐりたな)。この春の季節に使う、炉の棚です。
七世、十二世、十三世の、お好みがあります。詳しくは、お流儀のHPで!

蛤棚の飾り。





輪島市 柚餅子総本家中浦屋「柚子せんべい」山形市 佐藤松兵衛商店「梅じぐれ」。



主菓子は、姫桜。